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東京都動物愛護相談センター(2013.8)

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見やすいPDF版はこちら ⇒ 東京都動物愛護相談センター訪問レポート
 写真、資料はこちら ⇒ 東京都動物愛護相談センター(2013.8.21)
2013年8月21日
<参加者>
KAZUKI、詩月、浅沼一郎、秋山拓
東京都動物愛護相談センターの見学に行ってきました
お話:東京都動物愛護相談センター サタケさん(獣医師)
最初に職員さんから説明があった事が「お願いがあります。申し訳ありませんが、内部の犬舎の所の撮影はご遠慮頂いております。理由はこういう施設は残念ながら動物の処分というのは避けて通れません。他府県では処分現場をあえて公開し、
可哀相な動物を減らすための施策の一つとして行っている所もあります。ですが東京都はそういう手段はとっておりません。その理由としては、動物が処分されてしまう映像はすごくインパクトがあります。そのインパクトを見て皆さんが感じるのは、かわいそうという感情、気持ちの部分に訴えかける力がすごくあります。そこにあまりにもインパクトがあるだけに、
本当は、なぜかわいそうな動物がそこにいるのか、そこに来るに至るにはどういう理由があったのか、当然飼い主がいたはずです。その飼い主に動物を供給したペットショップ、などのバックグラウンドがあって結果としてかわいそうな動物になっている訳です。こういう事はきちんと頭で考えて整理しないと分からない事です。なのでかわいそうという感情だけで止まってしまう事が一番怖い事、まずい事なのです。そのかわいそうという気持ちだけで止まるのではなく、更にその先で変な方向に走り、そんなひどい事をする組織、人が悪いという結論を出し、誹謗中傷を受ける事がよくあるのです。私たちも過去にそういう辛い思いをした事があります。そういう事から私どもは写真や映像などはご遠慮頂いていますので、ご了承ください」という内容でした。この説明、職員さん達の思いがすごく伝わってきました。私たちにとって殺処分の現場を見て知り、感じる事はすごく大切ですが、私がいつも訴えているように、それ以上に飼い主や売る側のモラルが一番大事という事。そしてその事は悲しいかな、ほとんどの人が気づいていない、という事なのです。
そして様々なお話をして下さいました。その中で私が気になったお話をいくつか紹介させて頂きます。
①東京都動物愛護相談センターの犬舎は昭和49年に建てられた建物で、なぜ建て替えないの?と疑問がわくと思いますが、
 役所の中でこの建て替えの予算をとるのはなかなか難しい事です。センターは福祉保健局という局ですが、とても大きな局
 で老人介護、病院、医者、薬、麻薬など、色々な仕事をしている中で、動物にはなかなかお金が回って来ないです。人の命
 に直接関わる事には割とお金が回るのですが、そうでない動物に関してはどうしても後回しになってしまいます。
②法律では、犬猫を引き取らなければならないとなっていますが、東京都では昭和55年に条例ができた時から、「飼い主
 からの引き取りは、やむを得ない理由がある時にのみ引き取りをする」という事を条例で決めていました。9月からの
 法改正でようやく法律が追いついてきた感じですね。
③電話での引き取り依頼 → 事細かに飼えない理由を聞く(ふざけた理由の場合はコンコンと話をする)
 飼い主自身で新しい飼い主を探してもらう → 日時を指定してそれでも新しい飼い主が見つからなかった場合は連れて
                       来てもらう
④引き取り理由
20年前:子犬、子猫が産まれてしまって、これ以上飼えないから
     引っ越し、雑種が想像以上に大きくなってしまって手に負えない
現  在:高齢者が病院や施設に入らないといけなくなった、飼い主さんが亡くなった、引っ越し、リストラにあって飼える     環境じゃなくなってしまった

子犬、子猫を引き取って欲しいという依頼はほとんどなくなった。
⑤東京都の引き取り数
 20年前:26,000頭
 現  在:3,300頭
多くの飼い主さんが不妊去勢手術をするようになった
飼うスタイルが変わった、特に23区の人はマンションが多いので室内飼い、捨て猫もほとんど見なくなった
⑥東京都殺処分数
 30年前:56,000頭
 現  在:2,100頭
全国で約20万頭殺処分されていて、人口比からすれば約1割の人間が東京都内に住んでいる訳ですから、約1,000万人の人が住んでいて、そこから考えると20,000頭位殺処分されていてもおかしくない。そこで約2,000頭の処分で
抑えられているのは、センターの方達がすごく頑張ってくださっているからだと言う事が言えます。センターの方も、これでいいと満足している訳ではないとおっしゃっていました。
⑦成犬の譲渡 
 病気、問題犬など以外の譲渡できる犬は、ほとんど譲渡する事が出来ている
⑧殺処分方法 → 炭酸ガス
 炭酸ガスによる処分は賛否両論ある。団体でも肯定派と否定派がある。炭酸ガスには麻酔作用があります。これは以外と
 知られていない事で、炭酸ガス = 酸欠 = 窒息 = 首を絞められて息が吸えない苦しさ = 残酷な殺し方 と
 いうイメージがあります。実際は苦しさを感じる前に意識を失う。例えばトンネルの深いところや、船底を掃除している
 作業員などが酸欠で死亡するという事故が時々あります。これは一酸化炭素もしくは二酸化炭素による酸欠死です。酸欠に
 なった際に首を締め付けられるような息苦しさがあれば、おかしいなという事で何らかの行動を起こせるはずです。しかし
 実際は気付かぬまま意識を失い、そこに永い間いる事によって亡くなってしまう、という事なので、苦しさは基本的には
 ないと考えております。ですが私がその方法で死んだ訳ではないので正しい事は言えませんが…。しかし炭酸ガスの
 注入速度や濃度などによりある程度の息苦しさがあり、血液から多少のストレス物質が検出されたという事もあり、完全な
 安楽死ではないと思っております。我々は安楽死という言葉は一切使いません。もし麻酔薬を使って完全に苦痛を与えない
 処分をしたとしても、動物はこんな知らない所に連れて来られて置いて行かれ、不安な中で処分されるという事は、動物に
 とっては決して安楽死ではありません。やむを得ない事情があるならば、飼い主さんの腕の中で動物が安心した状態で
 麻酔薬を使って死を迎える事が、本当の安楽死だと思います。それ以外の死は一切安楽死だとは思っておりません。
⑨下関市にのみある、最新の殺処分機
 人が手術の際に用いる吸入型の麻酔で眠らせ、その後、炭酸ガスで殺処分
 一番苦痛を与えない方法ですが、吸入麻酔薬及びその機械がものすごく高いので、なかなか導入出来ないのが現状。
⑩動物教室
 小学校に動物を連れて行き、動物との正しい接し方、動物を愛護する心というのを教える
 子供が犬にかまれる事故が減らない為、子供たちに犬を触る時の手順などを教え、事故を未然に防ぐ
⑪犬舎は古く、狭いので、長期間飼う犬、譲渡を待っている犬は中だけではかわいそうなので、昼間は外に出してあげて
 いる。
猫舎の猫たち、犬舎の犬たちを見せて頂きました。施設は古いですが、中はとてもきれいに掃除が行き届いていて、猫、犬たちも清潔に管理されているようで、きれいで可愛かったです。職員さんは、古いので空調がよくなく、臭いがあるのが見学してもらう際に非常に気になる。隣の横浜のようにピカピカの施設だと臭いも気にならないし、犬たちにとっても広い犬舎で
快適に過ごしやすいが、すぐにハード面を整える事は出来ないので、現状でどうにか、やりくりしている。という事です。
東京都動物愛護相談センターの職員さん、とても頑張っておられます。半分以上は獣医の資格を持った方で、大好きな動物を殺処分する事にも大変心を痛めていらっしゃいます。そして川下でどれだけ一生懸命に動物を救っても、川上からどんどん
捨てられて流れてくるのではキリが無く、改善されません。動物達の為、嫌な仕事を強いられている職員さん達の為にも、
私たちが啓蒙活動をもっと頑張らなくてはならないと、再確認しました。
長々とまとまりのない文章、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
詩月